スキルと経験を最大限に生かし、戦略やミッションの設定、業務の見える化、優先順位の決定、そして実行までワンストップで寄り添うコンサルタントして、信頼を集めるGlide Path株式会社代表の向井さん。
根底にある経験と、強みとする課題解決パートナーとしての伴走支援についてお伺いしました。(インタビュー・記事:間藤まりの)
Q.大学卒業後コンサルタントとして独立なさるまで、いくつか企業で経験を積んでこられたとお聞きしました。中でも特に印象に残っていることはありますか?
1番は、日産自動車株式会社での経営企画室勤務ですね。中途入社から5年。それまでは経理部に所属していたのですが、公募で経営企画室へ飛び込みました。
最初はビジネスインテリジェンスグループで、競合他社との競争力分析、目標値の設定、よく言われる“見える化”、ルノーや競合他社との意見交換会も行っていました。リーマンショック後の競合他社の対応を分析し、自社対応と比較する評価シートを作成、手応えもあってウケが良かったのを覚えています。
続けて、代表的な競合他社4社と経営パフォーマンスを定量的に比較する健康診断表を開発しました。診断表を新しく作る過程では、「経営者からの指示ではないのにやる必要があるのか」「数値化して比較してアクションに繋がるのか」「そんな指標で比べられたらうちの部署は困る」など、関連部署が多義に渡っていただけに苦労も多くありましたがやり切りました。結果、当時のCEOからは高い評価をいただきましたね。
結局、戦略立案には、感覚でわかっているだけではダメで「どの程度、差があるのか、(劣勢の場合)毎年その差は縮まっているのか」を経営陣で共有する必要があります。前提としての現状の強み・弱みです。言わずもがな、経営陣は優秀であり社内のことも詳しく、そんな彼らにわかりやすく定量的なFACT(事実)を伝えることが大切です。
FACTがあれば自らどこに問題があり、どれから対応するかなど考えだします。診断表は、前提インプットとして有効活用できました。
その後、経営企画室でも中期経営戦略グループに移り、中期経営計画のモニタリングスキームの構築や、グローバルの中計販売台数の算出ロジック、中期収益シナリオ策定、投資ガイドラインの策定、アフリカ戦略のファシリテーションなど、重要な役割をリーダー的立場で関わらせてもらえたのは、ビジネスマンとして私の大きな財産です。
どんな時も、会社のなりたい姿を考え、FACTの把握から入ることは変わりません。なりたい姿とFACTのギャップが課題となり、それをどう解くかということです。
実は社内では、課題を抽出することより、課題を課題と認めさせて、アクションを起こす方が遥かに難易度が高い。粘り強くロジカルに、相手の利害も考え、時には遠回りしながら確実に前に進める、そんな泥臭いプロセスが「会社を動かす」となるのです。
Q.企業経験から、今に一番つながっていると感じる部分はどこでしょう?
重要なラーニングは、会社全体や部署として「やるべき」は分かっていても、「いざどうする、どう動かしていく」とは全く別物であり、後者ができてこそ始めて目的は果たされる、どう着地させるかということなんです。
今の私のコンサルのアプローチで、一緒に考え実行していく“プロセス”に重きを置いているのは、過去の事業会社で汗水流しながらプロジェクトを進めてきた経験があるからです。これらを活かしてたくさんの企業の価値創造に貢献したいと思い、コンサルタント業としてGlide Path株式会社を起業しました。
Q.ご自身の経験を社の強みに変えていらっしゃいますね、起業後も様々な体験を通じて学ばれることはあるかと思いますが、何かエピソードがあれば教えてください。
はい。弊社とは別でMYSH合同会社という会社を2017年に立ち上げ経営しています。
「地方創生」を切り口にした地方自治体からの業務委託、「日本酒」を切り口にした日本酒や日本文化の普及を主とした会社です。日替わりで副業女将が切り盛りする日本酒バー(MYSH Sake Bar)を現在、神田で営業しております。
「地方創生」「働き方改革(副業の意味)」というぼんやりとした社会課題に対して向き合い解決してこうと経営している側面が、私のコンサルティングが虚業にならない大きな理由であると考えています。
Q.強みにある“着地に拘る”について、お聞かせください。
ここでいう着地は、目標やミッションの達成です。
実は、私のところに来るクライアントさんの中には、「大手コンサルファームに入ってもらって現状の課題分析と対策を打ち出してもらったのだが、そのあと社内でうまく進められない」と、いう方も多くいらっしゃいます。これは非常にもったいないパターンです。
コンサルタントはプランニングを担っているのでそのフェーズを完遂すると、それ以降クライアントへ続きの実行フェーズは引き継がれます。クライアントはコンサルタントへデータ提供やヒアリングを受ける程度でそのプロセスには深く関与することは少なく前提の理解が不十分であり、また課題解決の経験も限られており、部門を超えた社内調整も容易ではありません。そんな状況でコンサルタントから引き継ぎ「さあ、やってください」と言われても「何から?どう始めれば?」の状態に陥り、実行フェーズが進まないという事態が発生します。
Q.そうした状態を進める糸口が、“着地”への意識なのでしょうか?
事業経験や自身で事業を経営しているからこそ、実行フェーズを完遂しない限り、どんなに素晴らしい計画も「絵にかいた餅」となることを重々理解しています。だからこそ、その実行フェーズまで、クライアントとともに歩んでいきたいと考えています。
Q.複雑な要素が絡まり合った実行フェーズを紐解くために、どのような対応を取っているのでしょうか?
例えば、コーチングのアプローチでヒアリングし、クライアント自らの進め方を聞き出し、それを整理していく。次に、部門の壁を取り払いつつ関係者を巻き込みながら「One Team」の活動としてプロジェクトを作り、ファシリテートしていきます。時にはメンバーと一体となり時には一定の距離を取りながら着地に向けてプロジェクトを進めていきます。こうした絶妙の伴走者というポジションが求められ、価値として認めていただいていると感じています。
Q.伴走することのメリットはなんでしょうか?
クライアントから評価いただいている点として1つ目は、コンサルタントに任せっきりではなく、関係者が自分たちで考え進めることにより、自分事としてプロジェクトに取り組む点。
2つ目はその派生で課題解決とやり抜いた自信から、参画者が成長するという点です。 私の最終的な目的は、自分(向井)がいなくてもプロジェクトが回るようになり、未来に向かって会社の利益向上に貢献できる人材を生み出すことです。なので、コンサルに入っても、考えて手を動かすのは基本的にクライアント自身にお願いしています。自分がやるので、体で、感覚で仕事を覚えます。考える癖ができる。
3つ目は生々しいですがコンサルタントフィーです。伴走支援を行う弊社の場合、月50万円から相談可能とさせていただいています。例えば半年で300万円、1年間でも600万円。おおよそマネージャークラスの人件費で課題解決に向けたアクションを起こせる上、メンバーの成長を促せます。一般的なコンサルファームと価格と成果を比較していただければそのお得さを実感していただけると思います。
例えば「ちょっと体が不調だな」と思った時、気軽に相談できるお医者さんはいますか?相談の目的は、よくわからない不調を治すことですよね。そのぼんやりした困りごとを受け取ってくれるのは、科に振り分けられる総合病院ではなく、街にあるかかりつけ医です。「頭が痛いと思い病院へ行ったなら、実はこの前の打ち身が原因だった」など、話してみたら問題の根本は別の箇所にあることも考えられます。私のコンサルティングもそれに近いと思っています。ピンポイントに関わるのではなく、広く全体を見ることで小さな不具合を明確にし、全体を改善していく。経営戦略であれば代表者と、実務であれば担当者と、マーケティング戦略であればその両者ともに進めていくなど、必要性も関係者も状況に応じて変化します。
Q.内容も掛け合わせるスキルも多岐に渡りますね。全てをまとめて解決まで持っていくのは簡単なことではないと感じますが、改めてそれができるのはなぜでしょうか?
企業での地道な経験の積み重ね、コンサルファームでの経験と自身で会社を経営している点が大きいですね。一貫して企業の価値向上のために全力を尽くしてきたため、それを達成するためのスキルが身についています。
「どの分野で、何が困っているのか、まだ明確ではないけれどどうにかしたい」そんな悩みでもぜひご相談いただきたいです。根本原因を見つけそれを治癒していく。必ず課題があればそれは他の部分や全体にも影響を及ぼします。
全ては目標達成のため、コミュニケーションを大切に、企業の潤滑油として尽力できれば幸いです。
最後まで読んでいただきありがとうございました。